【お金の話し】日本国の紙幣と硬貨の発行元が違う理由

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日本の紙幣と硬貨は、別のところで作っている?

日本の紙幣は日本銀行、硬貨は日本政府が自ら作っています。

普段使っているお金をまじまじと見る機会というのは、意外に少ないのですが、あえて見てみるとお札、つまり紙幣には「日本銀行券」と書かれています。

それに対して硬貨には「日本国」と書かれているのがわかるでしょう。

日本政府と日本銀行は別物!紙幣の発行権は日銀が握っている

経済に詳しい方にとっては今更な話ですが、意外に一般人が知らないことがあります。

それは紙幣を発行している日本銀行は、日本政府とは独立した機関だということです。

そして日本では紙幣を発行する権利を持っているのは基本的に日本銀行になります。

こうした構造になっているのはその昔、明治政府が戦費を調達するのに紙幣を乱発した結果、すごいインフレが起きてしまい、そうした失策を再び犯さないよう、政府が勝手に紙幣を発行できないようにしたからだと言われています。

ですから最近まで、日本はひどいデフレに喘いでいましたが、その解決策として、「日銀にどんどん紙幣を刷らせればばいいじゃないか!」という話がエコノミストから出ていたわけです。

しかし紙幣をどれだけ刷るかの判断(正確には、紙幣をどれだけ市場に流すかという判断)を下すのは、日銀のトップである日銀総裁になります。

まぁ、政府から日銀に対して紙幣を増やすように要望をする事は可能なのですが、最終的に決定するのは日銀総裁です。


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経済はデフレだからといって、紙幣をどんどん市場に流せばうまくいくという単純なものではないようで、日銀総裁は目先の景気動向だけではなく、長期にわたる経済の動きを読んで、市場に流れる紙幣の量をコントロールしています。

硬貨は日本政府が自ら発行しているが、事情に及ぼす影響は少ない

一方政府が自ら発行しているのは硬貨です。

1円から500円まで6種類の硬貨を作っているのですが、硬貨の発行が政府に許されているのは、量産して市場に流しても市場に与える効果は小さいからだと言われています。

硬貨は別名「補助貨幣」と呼ばれていて、基本的に国内で流通することが前提のお金です。

その証拠に海外で紙幣は両替可能ですが、硬貨は原則的に両替できません。そんなドメスティックな貨幣が経済に大きな影響を与えることは出来ないわけです。

政府は絶対に紙幣を発行できないのか?近年議論された裏技「政府紙幣」とは?

日本政府が日銀に変わって紙幣を発行することが絶対に出来ないのか?と言われると、そうでもないようです。

2008年から2009年頃、低迷する日本経済を立て直すために、当時金融担当大臣であった渡辺喜美氏が、政府紙幣の発行によって財政を立て直す案を出しました。

この政府紙幣発行案について、識者の間では通貨法(正式名称:通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律)の改正が必要だとか、色々議論がなされました。

「日本政府は記念硬貨として1万円硬貨だって発行できるんだから、法改正なんかなくても政府紙幣を発行できるんじゃない?」という意見も出て、にわかに政府紙幣発行が実現性を帯びてきました。

しかし、結局過剰供給によるインフレの可能性が拭い切れなかった為、幻の案として消えていきました。

そんなわけで、紙幣の発行は日銀が行い。政府が暴走しないように絶妙のコントロールされているのです。

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