国がローン金利を上げるらしい!?ヤミ金被害を減らすためと言っているが本当なの?

legal-revision

多重債務者の増加に歯止めを掛ける目的で2006年に施行された「改正貸金業法」ですが、あらたに改正案が自民党から出ています。

その改正理由として上げられているのがヤミ金の増加問題です…

自民党が貸金業者の金利規制緩和に向けて動き出した。多重債務者が社会問題化し、06年に改正された貸金業法により、上限金利は29.2%から20%(元本100万円以上は15%)に下がったが、29.2%に戻す方向で党の財務金融部会が検討を始めた。「零細企業に闇金融の利用が広がっており、上限金利を引き上げるのもやむを得ない」(与党関係者)・・・

街にはびこる「闇金融」「上限金利」引き上げも(2014年7月2日 Yahooニュース)


上手に生きるためのライフスタイルのfacebookページではお金に関する情報だけでなく、遺産相続、夫婦生活の問題、交通事故関連のニュースなど様々なコラムを更新しています。 よろしければFacebookページのフォローをお願いします。

法改正前の簡単まとめ

2006年の改正貸金業法を施行したのは自民党政権でした。この法律の功罪はいろいろ意見が分かれますが、多重債務で苦しむ人が減ったのは間違いありません。

この法律が施行される前は、お金を借りる利用者も増えている中でグレーゾーン金利による貸し出し真っ盛りでしたので、貸金業者、信販会社、カード会社は大儲けしました。
当時は貸金業者もイケイケでしたので、返済が滞る利用者に対して過度な催促・取立てをおこないました。

その結果、多重債務が原因で自殺者が増えるなど社会問題化したのです。

これを重く見た当時の政権は、金利の規制、総量規制(年収の1/3以上の貸し出しを禁止)に思い切ってカジを切りました。

さらに、「過払い金返還請求」というものを認めました。それにより、過去にグレーゾーン金利で融資を受けた利用者は、その利息分は返還を受けられるという事になったのです。

苦悩する貸金業者、笑う過払い金の専門家

この、金利の低下と過払い金返還の2重苦を背負った消費者金融、信販会社は軒並みどこも売上ダウンし財務体質の悪化が進みました。

武富士に代表されるように体力が無い会社は倒産したり、吸収合併されたりと合従連衡が進む事になります。さらに大手消費者金融(アコム、プロミス、ライフ)などは銀行傘下に入り業界は大きく再編される事になりました。

過払い金の問題は、貸金業者各社にとっては寝耳に水の話しであり「今まで儲けた分を吐きだせ」と言わんばかりの扱いとなるので大きな反発を生みましたが、政府の意向には逆らえません。

ここで得したのは、過払い金が戻った利用者もそうですが、最も得したのは「過払い金問題を専門に扱う弁護士、司法書士」でした。事務所によってはバブルのように儲かったのではないでしょうか。(笑)

海外の金利のはなし

money-lender

さて、貸金業者の金利は何%が適切なのでしょうか?15~20%では、貸金業者は薄利になるので、貸し渋りが起きます。29.2%だと儲かりますが、利用者にとっては負担が大きくなります。難しい問題ですね。

日本の貸金業者の金利は世界的に見ても低いと言われています。お隣の韓国では年利49%です。また、アメリカでは州によって違いますが、ここ数年では「ペイデイローン」と言われる小口融資の利用者が増えており、この金利は200%を超えるケースがあります。(違法としている州もあり社会問題化しています)

しかし、これらの貸し手も貸倒れが起きないようなリスク回避の貸し出しをおこないますし、個人の与信管理も進んでいます。借り手側も金利の高さを十分認識していますので、安易に大金は借りないという考えが浸透しているようです。

その点、日本はある意味特殊かもしれません。

消費者金融と利用者(個人)の取引は、無担保を原則とした信用取引です。信用機関の事故情報が無ければ、ある程度まとまったお金をキャッシュディスペンサーですぐに借りることができます。こんな国はどこにもありませんね。(海外なら、真っ先にキャッシュディスペンサーは壊されてお金がすぐに盗まれますね)

そこには、借り手側も借りやすい環境があるのでついつい借り過ぎてしまいます。(貸金業者はそれが狙いですが)
また、借りた側は「借りた金は何としてでも返さなくてはならないという真面目な国民性」があります。

多分、欧米にこのような信用取引の仕組みを持ち込んだとしたら、踏み倒す人間が続出して貸金業者はあっという間に倒産する事でしょう。

ヤミ金がさらに詐欺化する可能性がある

loan-sharking

2006年以降で問題となったのは、貸金業者の貸し渋りの問題です。消費者金融から借りる事ができなくなった人が行き着く先は、ウシジマ君で有名な違法な貸金業者の「ヤミ金」になります。

利用者もヤミ金の看板を見たら安易に手を出しません。しかし、ヤミ金業者もあの手この手で金策している人に対して看板を変えて甘い言葉で勧誘します。

このように悪質な融資方法もたくさん出て来ています。

  • 携帯だけの取引をおこなう「090金融」
  • 年金を担保にお金を貸す「年金金融」
  • 車を担保にお金を貸す「自動車金融」
  • 自営業者にFAXやチラシなどで融資を勧誘する「システム金融」
  • 多重債務者に融資を持ちかけ手数料を取る「紹介屋」
  • 多重債務者に債務の一本化(おまとめ)を持ちかけ融資する「整理屋」
  • 商品価値が無いモノをカード決済させて、その何割かを渡す「クレジット現金化」

まとめ

歴史は繰り返すと言いますが、貸金業者の金利が上がったらどうなるでしょうか?

やはり、貸金業者の融資枠が増える事になりますので、利用者はリスクが高い「ヤミ金」には手を出さなくなるでしょう。これは政府の狙い通りになると思います。

しかし、懸念点としては、過去の歴史にあったように貸金業者の過剰な取立てが再現されないかと言うことです。また、1999年のピーク時から減っている多重債務者が増えないかということです。

さらに、ヤミ金の詐欺化が進まないかという点も心配です。現在も、詐欺的な貸付けの「押し貸し」、「偽装質屋」など、どんどん新手なヤミ金詐欺が出てきています。

貸金業者の金利の問題は、庶民生活に大きく影響する問題です。多重債務者や自殺者が増えないようなセーフティーネットを検討した上で、施行するかどうか考えて欲しいものです。

Top