なぜ質屋がヤミ金に?その手口と対策

なぜ質屋がヤミ金に?その手口と対策
昨今、新たなヤミ金の手口が話題となっています。その名も「偽装質屋」です。

貸金業法の改正により貸金の上限年率が利息制限法の20%に統一され、いわゆるグレーゾーン金利による貸付が否定されたことによって、今まで高利貸しを営んでいたヤミ金業者は衰退せざるを得なくなりました。

しかしながら、現在、新たなヤミ金の手口が全国に蔓延しつつあります。それが「偽装質屋」というわけです。
現在、偽装質屋は社会問題にまで発展しつつあり、警察だけでなく消費者庁、司法書士や弁護士といった士業会でも注意勧告が出されているほどです。

今回は、なぜヤミ金が質屋を偽装しているのか、その手口と対策についてご紹介します。

質屋の簡単な仕組みについて

みなさんは質屋の仕組みについてはご存知でしょうか?
質屋を営むには質屋営業法に則った営業届を都道府県公安委員会に提出し、営業の許可を得なければなりません。営業許可を得た上で、質屋は財産価値のあるものを担保として預かり、財産価値より若干低い金銭の貸し付けを行います。

その後、返済がなされたときは担保となった質物はもちろん返還しますが、返済がなされなかった場合、「質流し」といって質物を売りに出すことにより返済の代わりとします。

通常、質屋はこのような仕組みで貸し付けをしていますので、定義としては貸金業に該当しています。しかし、金利については貸金業法や利息制限法の20%という制限を受けずに、質屋営業法による年利109.5%までの金利が認められているのです。

察しの良い方はすでにお気付きかと思いますが、ヤミ金はこの質屋営業法の特例金利である109.5%という金利に新たに目をつけたのです。偽りの営業届出を出したり、すでに質屋として営業している業者から看板を借り受けたりして偽装質屋を営んでいます。

偽装質屋の手口について

偽装質屋の主なターゲットは年金受給者である高齢者です。
少ない年金生活で細々と暮らしている高齢者に向けて貸し付けを行い、年金受給日に銀行からの自動引き落としを条件に融資を行います。これだけではただの貸金と違いありませんので、もちろん質物を担保として預かります。

しかし、この質物はまったく価値のないものを預かっていて、返金がなされなかった場合も質流しといったものが一切なされていないことがほとんどです。つまり、なんの財産価値もないガラクタを預かってお金を貸し付け、年金受給日に確実に回収を行うという仕組みです。


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そして、この回収されるお金から109.5%という暴利を得ているわけです。さらに、最初は小口での融資を行うため、この異常な金利があまり目立つことがないばかりか、簡単に借入を行うことができるため、これに気をよくした高齢者が次第に泥沼へとハマっていく仕組みとなっています。

年金受給の高齢者は新たに借入をすることが困難ですし、法律知識や時事などに弱いことからも、詐欺などの手口のターゲットとされることが多いといえます。しかし、高齢者だけが被害にあっているわけではありません。
自己破産などによって新たな借入ができなくなってしまった経済困窮者も、偽装質屋のターゲットとされてしまっているのです。

偽装質屋対策は専門家に助けを

知識さえあれば手口としては単純なので、まず引っかかることはないといえます。そもそも財産価値のまったくないものが担保に成り得るわけがありません。しかしながら、そういった知識を持ち合わせていなかったり、目の前の生活費に困っていたりする場合は、どうしても引っかかってしまいます。

では、実際にこの手口に引っかかってしまった場合、引っかかっている友人・知人がいた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

相手は形式上質屋ですが、違法すれすれのことを平気でやってのけ、場合によっては違法行為さえも辞さないヤミ金業者だということを忘れてはいけません。下手な対応は身の危険が及ぶ可能性もあります。

中途半端な抵抗は相手側を逆撫でするだけですので、そういったことはせずに警察や法律の専門家である弁護士に介入してもらうようにしましょう。場合によっては、相手側に搾取されてしまった利息分を取り返すこともできるかもしれません。

質屋営業法の改正が求められているが・・

現在、こういった偽装質屋を強く取り締まるために、質屋営業法の改正が求められる動きが出てきました。主な改正案としては、口座からの引き落としや自動送金を禁止することや、特例金利である109.5%を廃止することなどが挙げられています。

しかしながら、仮にこの改正案が認可されたとしても、ヤミ金側はまた新たな手口による搾取を繰り返しますので、まさにイタチごっこ状態です。こうした負のサイクルに自身が関与しないためには、しっかりとした知識を身につけ、弱い心に付け込まれないよう強い意思を持つことが必要とされます。

まとめ

偽装質屋の主なターゲットは年金受給中の高齢者です。しかし、今後さらに被害が拡大していく可能性もありますので注意が必要といえます。手口をしっかりと理解していれば被害に遭うことを回避できますが、もし騙されていたことに気付いた場合はすぐに警察や法律の専門家へ助けを求めましょう。
今後もまた新たな手口が開拓される恐れもありますので、引っかからないためにも知識や時事には敏感になる事が必要ですね。

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